WESSRUN! RUN! RUN! スペシャルインタビューSCANDAL

RUN! RUN! RUN! スペシャルインタビュー

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SCANDAL

メジャーデビューから早10年。『やりたいこと』、『できること』、『ファンが望んでいること』を見極めながらも、【去年までの自分たちを一歩でも先に進めていく】ために戦った10年だっただろう。様々な方法論を試し、ガールズロックバンドの可能性を探ってきた10年だっただろう。しかもいつも笑いながら。 海外で精力的にライブを行ってきた実績と自信がスケールの大きい音像となって、遠い道のりを一歩づつ進めてきたのだろう。そう、いつも笑いながら。 この日もHARUNA(Vo.+G.)、TOMOMI(B.)、MAMI(G.)、RINA(Dr.)の4人が勢ぞろいである。 インタビュー場所は観光客にも大人気の『雪印パーラー』(笑)。混雑している店内だけど、普通こういう場所にはアーティストは来ないよね、避けるよね(笑)。天皇陛下にも提供なされたというロイヤルアイスクリームを使ったパフェがたくさん並ぶ中、何故かTOMOMIが注文したポテトフライが異色(笑)。まぁこれも北海道らしい、のかな?でも一番人気で皆がつまんでいるのでナイスなチョイスです。お互いのパフェに手を伸ばしたりして「このアイス、濃い〜!」、「フルーツ、デカっ!」と、4人の仲の良さはこんなところにも表れていました。そんなモグモグタイムの中インタビューは始まります。

SCANDAL

SCANDAL TOUR 2018 “感謝祭”

11.16(金) Zepp Sapporo

公演終了

INTERVIEW

HARUNA「こんなに食を楽しんでいるプロモーションは初めてです。やっぱり北海道は美味しいなぁ」

RINA「北海道ならではだよね。サイコー!」

TOMOMI「私たち、ツアーに出ると食は大事なんです」

RINA「だから『シャケナベィベー』(注:ペニーレーン24にて出している鍋)はみんな大好きなんですよ!」

 

・いやいや、こんな取材の場でこっちに気を使わなくても大丈夫ですから(笑)。今回の10周年感謝祭はメジャーデビューから数えての10周年なんですね。

HARUNA「結成からだと8月で12周年になるんですけど、メジャーデビューから数えています。インディーズデビューも2008年だから同じになるんですけど」

RINA「私たちは、結成の日を大事にしているバンドなので、その8月21日に何かをやることが多かったんですけど、さすがに『10』という数字は大切なので、今年はデビュー10周年を記念するツアーをやろうと思ったんです」

 

・バンド結成って、月はなんとなく覚えていても日にちまではっきりしていることってあまりないんですが、8月21日とはっきりしているのは?

HARUNA「私たちは元々大阪のダンスボーカルスクールに通っていて、学校の先生に勧められて楽器を持つようになったんですけど、他のスクール生もぼちぼち楽器を始めていたんですけど、8月21日がこの4人が揃った日なんですよ。そして一週間の合宿が始まるんですけど、始まった8月21日を結成日と呼んでるので、ハッキリしてるんです」

 

・今年は、6月に香港を皮切りにアジアツアー、9月にはニューヨークを皮切りにUS&Mexicoツアーと、海外でのツアーがありました。デビューした2008年にも全米6カ所やフランスや香港でライブがありました。SCANDALというバンドにとって海外でのライブというのはどういう位置付けなんですか?

TOMOMI「海外に出ると、そこにいるだけで心の持ち方が広くなるというか、ゆとりが持てるんです」

RINA「そうだね、海外で書く歌詞と日本で書く歌詞とではテイストが少し違います。見えている景色が違うので、言葉選びも変わってくると思います。例えば日本でだと“青空”という言葉は、ありきたりかなぁと思いますけど、海外だとこれがピッタリ!としか思えなくなったりとか、ジャッジの基準が変わってきたりして、広い視野と気持ちで音楽に向かうというのが自分たちにとって大切で、余裕を持ってステージに立てるというのは貴重なことだなと、最近はより感じています。昔は『ライブができるならどこにでも行きたい』とか『海外にもお客さんがいるなら会いに行きたい』って単純で純粋な気持ちだけだったんですけど、最近は曲作りにもすごくプラスになるなって思うんですよね。リラックスしたムードで音楽に向き合える場所が海外で、そういうモードに切り替えてくれる場所が海外で、今はとても大切なことです」

 

・それは歌詞だけではなく、メロディやサウンド作りにおいてもそうですか?

MAMI「個人的にはあんまり意識してないです。でも、2016年に『YELLOW』ってアルバムを出したんですけど、その製作がワールドツアーを回った後だったんですけど、自然に影響されているものがあるんだなぁと思って、心が大きく変わる瞬間っていうのが海外にはあるんだなぁと思って、だいぶカラッとしたアルバムになっていると思います。デビューする前に初めてツアーをしたのがアメリカで、そこで自分たちのライブの基礎というか土台が出来上がったので、それがあったから日本でもツアーというものにちゃんと挑めたし、もしそれがなかったら今のライブスタイルはなかったかもしれないとも思うし、とても大事なツアーだったなと思います。今も、海外に行くと、チャレンジしようと思う」

 

・そういう風に心が動くんですね。でも、カラッとしたアメリカと、独特なウエット感があるアジア各国とでは違いませんか?

RINA「確かにアメリカとアジアでは出てくるワードに違いはあると思いますね。でも日本以外の国で感じたことを日本で音楽にするという、そのミクスチャー感が日本人ならではの得意技で、ガールズバンドならではのカルチャー感で、うん、なんか新しい音楽が作れるんですよね。何にも似てないような音楽、それが面白いと思えるし」

 

・であるならいっそ海外レコーディングは?

HARUNA「ないんですよぉ、まだ」

TOMOMI「やりたいよね」

RINA「憧れますよね〜。その街に住んで、共同生活のアパートからスタジオに通って曲を作っていく。やれるならLAがいいですね。個人的にはヨーロッパが好きでプライベートでもパリには行ってるんですけど、レコーディングとなったらやっぱりLAですね」

HARUNA「さっき話の出た『YELLOW』のレコーディングの時に、海外レコーディングをしているような環境を作ってみようと、都内でいろいろ試したことがあったんです。私はニューヨークで、寒い冬に、あの時の試しを本当の環境でやってみたいな、と思いますね」

MAMI「私もニューヨークだなぁ。10年前に、初めての飛行機に乗って、初めて降り立ったのがニューヨークだったので、その時の記憶が今もめちゃくちゃに濃くて、だから一番好きな街です」

TOMOMI「私は真逆に、ドイツとかでシリアスな曲を録ってみたいな。以前にヨーロッパでツアーを回った時は飛行機移動じゃなくて寝台バスだったんですけど」

HARUNA「バスの中で寝てライブ、またバスの中で寝てライブの繰り返しだったよね。結構いろんな経験してるよね」

TOMOMI「でも陸路で国境を越えるというのも新鮮な感覚だったし、こんなにロード感のあるツアーも珍しくて、私は意外と楽しかったなぁ」

 

・へえ〜。結構タフな経験もしてるんですね。

TOMOMI「9月に行ったダラスって街ではSCANDALの事を知っている人は少なくて、でも街にはライブハウスもロックバーもすごく多くて音楽の街って感じがしたんですけど、“なんか日本人の女の子のバンドが今からライブやるみたいだよ”って噂だけで来てくれた人も多かったようで、でもそういう見られ方って、もう日本ではほとんど経験することがないから、懐かしいような新しいような感覚で。だから海外でライブをする意味があるのかなぁ?って、刺激になるなぁって、そう思います」

 

・そこにはガールズバンドとして10年やってきた誇りがあるの?

HARUNA「10年をこの4人で続けてこられたってことには誇りを持っていますよ。でも特に海外でなんですけど、女の子が4人集まると、ダンスボーカルグループで活動するのが多いみたいで“なんで楽器持ってバンドをしてるんだ?”って聞かれる。世界的に見ても確かに少ないし、きっとそれは続けることが難しい面があるってことだと思う。けれど私たちはそれを難しいと思ったことはあまりないし、女性特有の・・・っていうのもほとんどないから、だから続けてこられたことに感謝をしてますね」

 

・10年経ったわけだけど、この10年で一番変わったのは誰?

全員「う〜ん?(しばらく無言)」

RINA「分かりやすく見た目が変わったのはMAMIじゃない?」

MAMI「髪もピンクじゃなくなったし(笑)」

RINA「そういう意味では皆変わったと思います。個人個人が好きなものを掘り下げてきたから、個人の色合いがハッキリしてきたし、聴く音楽も違うし、好きな洋服も違うし、きっと休日の過ごし方も違うと思うんですよね。そういう意味では4人とも、【違う人間に進化できた】な、って思います」

 

・人としてもバンドとしても、「変わってはいけないもの」ってあるじゃないですか。逆に「変わらなければならないもの」というのもあるじゃないですか。

TOMOMI「変わっちゃいけないことね、、、なんやろうなぁ」

 

・飽きてないなぁとも思うんですよね。ペニーレーンで初めてライブをやっていただいたのは2012年だし、昨年も2daysやっていただいているし、その間を見ていて、楽しそうにやっていることが変わってないなぁ、4人でバンドやっていることに飽きてないなぁ、と思うんですよね。

MAMI「変わっているから変わってないのかもしれないなぁ。アルバムを出すたびにモードチェンジしているから。“自分たちはこうありたい”が変わってきているから、変わり続けているから飽きてないし」

 

・へえ〜、それはアルバムごとにプロデュース的に変わっているの?コンセプトとかが?

RINA「作りながら出来上がっていくんですよね、テーマが」

MAMI「こういう方向に持って行こうと話し合うんじゃなくて、なんとなくの空気感が生まれてきて、曲が集まったらそういう方向になっているというのが10年続いているんです」

 

・アルバムに入る10曲が見えてきたら、今のバンドの立ち位置はココなんだな、って感じるということですか?

HARUNA「そうです、そうです」

RINA「それが分かった時にタイトルが決まるんです」

 

・その空気感は歌詞に現れるんでしょうね。

RINA「そうですね、まさに。バンドの指針であり、4人の生き様みたいなところが滲むんだろうなと思います、歌詞に」

 

・歌詞にも現れるけど、アレンジにも出てきますよね。あれ?アレンジって、、、?

HARUNA「最近はMAMIがやっています」

MAMI「最近は自分がやってて、デモが上がってきたら、ギターはこう、ベースはこういう感じで、ドラムはこうと、自分の頭の中で組み立てていて、がっちりPCで完成形として作り上げたガチガチなものをみんなに渡しているんです。でもそうやって作ったものを同じ歌詞で同じメロで真逆のテイストにしたい!という時もあって、その時にはアレンジャーの方にお願いしたりもします。もうこれ以上思いつかん、ってなった時に(笑)。でも曲を自分達で作れるようになったのは大きくて、それがなかったら10年続かなかったと思います。それはさっき言ってた「変わらなければならないもの」ってことなのかも」

 

・これからの10年っていうのも考える?

HARUNA「考えますよ。どこまでやれるかはわかんないし、いつまでバンドをやるって決めているわけじゃないけど、やれるところまで全力でやりたいな、って」

 

・最初にも話が出たけれど、ツアー中の楽しみって?

HARUNA「やっぱり食かなぁ」

TOMOMI「食になっちゃうよね」

MAMI「洋服が好きで、洋服を作るのも好きなんで、各地の手芸のお店によって掘り出し物の端切れとかを探すのも楽しみなんです。あと、47都道府県を回ってた時に、みんなでヘアアレンジをし合っていたんですね。それで自分でヘアバンドを作ったりしたんで、手芸や編み物に目覚めたり」

TOMOMI「私は牡蠣が食べられなかったんですけど、広島で食べれるようになりました。今では生牡蠣も食べられます。ライブとか大事な日の前は食べませんけどね(笑)。食べられなかったものが食べられるようになると“大人になったなぁ”って思います(笑)。みんな少しづつ好き嫌いがなくなって、昔だったらみんなで行けるお店はメニューの多い居酒屋かイタリアンだけだったけど、最近はどの店でもみんなで行けるようになって、ツアーに出たらライブ以外でもみんなで楽しめることが多くなったの。全国に好きなお店があるっていうのは嬉しいな」

HARUNA「うん、それ嬉しいよね」

 

・ツアーには必ず持っていく必需品ってありますか?

MAMI「一泊でも必ず持っていくのはパジャマ。今回もマイパジャマは持ってきています。どんなふわふわの良い素材のが備え付けられていても使わないなぁ」

HARUNA「私は今はこだわりがなくなった。前は同じようにパジャマを持ち歩いていたんですけど、なくても過ごせるようになっちゃった」

MAMI「何着てんの?寝る時は」

HARUNA「ホテルに置いてあるのを着ることもあれば、スエットのこともあるし(笑)、旅をするごとにこだわりが削ぎ落とされてなくなったなぁ。どうとでも生きてけるようになっちゃった(笑)」

TOMOMI「私もそうだな。昔はアロマとか持って行ってたけど、今は特になくなった」

RINA「私はタオルとビーサンは必ず。潔癖性なのかスリッパとかの『消毒済み』というのがちょっと,,,。パジャマもそうだけど肌に直接触れるものは持っていきたいタイプですね(笑)」

 

・では最後に、名古屋から始まるこの『感謝祭』とは。

HARUNA「10年というのは、自分たちの頑張りだけではここまでたどり着けなかった数字だと思うので、その分の感謝の気持ちを込めて、この10年の中の【最強のセットリスト】を組んで演りたいな!と思っているので、出来るだけたくさんの人とその瞬間を分かち合いたいな、と思っています。そして、今回が初めてのSCANDALのライブ参戦だとしても、その方達を置いていかないで楽しめるようにお迎えするので、どうぞ遊びに来て欲しいなと思っています」

 

           インタビュー・文 大槻正志(ペニーレーン24)

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