WESSRUN! RUN! RUN! スペシャルインタビューThe pillows

RUN! RUN! RUN! スペシャルインタビュー

PICKUP ARTIST

The pillows

The pillows 20枚目のオリジナルアルバム『STROLL AND ROLL』が発売になり現在はツアーの真っ最中。札幌公演も間近だ。
このアルバムの聴きどころの一つが、縁のあるベーシスト5名をゲストに迎えているところ。結成メンバーである上田健司、第二期を支えた鹿島達也、盟友JIRO(GLAY)など一癖も二癖もある多彩な才能とのコラボが楽しい。
そしてもう一つの聴きどころが、その『枯れない瑞々しさ』だろう。この真っ直ぐ感はクセになる。勇気をくれる。山中さわおに話を聞いた。

The pillows

6/17(金),18(土) ペニーレーン24
START [6/17]19:00 [6/18]18:00
オールスタンディング 4,320(税込)

公演終了

INTERVIEW

●25周年を終え、キリのいい20枚目のアルバムというのでもっと壮大な、意味とか決意を詰め込んだアルバムになるかと思いきや、“僕らの第○章の始まりです!”的なものになるかと思いきや、力みもなく明るく瑞々しいロックナンバーの並んだアルバムになったんですね。明るい、というと語弊があるかもしれないけど。
「いや、僕ら的にも“軽快で楽しい”といった印象を持っていますよ」

●あぁそうですか。M-4の『ロックンロールと太陽』やM-5の『Subtropical Fantasy』の突き抜けた軽やかさからそんな印象を受けるし、でも続く『エリオットの悲劇』はすごく初期っぽい感じがしたし。
「そうですね、ハイ」
●で、この曲はベースが上田健司(注:バンド結成当初のベーシスト。1992年に脱退)なんだもんね。
今回は縁のある5人のベーシストを迎えてのアルバムなんですが、なぜこういう取り組みが必要だったんですか?
「前作、一昨年に出した『ムーンダスト』の時に僕はそれを口に出していて、未経験のことって少なくなってくるじゃないですか。
僕らは20代の頃にジャズっぽいの演ろうとか、ソウルっぽいの演ろうとか、第二章を早くに経験しちゃって、“でもそっちじゃないな”ってロックに戻って来たタイプなんで、今から新しい音楽ジャンルに挑戦するってことは発想としてはないんですね。
ずっと同じ料理を提供する中で、僕らがそれを飽きずに工夫する中で、初期の頃よりはスパイスが必要になってきているんですね。
それがないと楽しくないんではなくて、より楽しみたいっていう欲張りな意味なんだと思うんですけど、でもストリングス入れようかとか、キーボードやパーカッションを入れようかとか、分かりやすく派手にする方法もあるんですけど、そうなるとジャンルが変わって来ちゃうんで、提供する料理が変わるのは僕は嫌で、あくまでもピロウズで、でもスタジオの中が新鮮で楽しい時間になって、僕らとしても驚きがあって、となると何かないかな?って考えた時に、いろんなベーシストを呼んで一緒に演ってみようと。
それはベースのフレージングの驚きだけじゃなくて、もうちょっと真鍋くんにもシンイチロウくんにも、もちろん僕にも緊張感を与えられたらイイナ、とも思って。
だって後輩にナメられたくないじゃないですか(笑)。
恥をかきたくないじゃないですか(笑)。
こんなもんでいいか、って気持ちを排除したかったというか」

●この10曲をどう振り分けるかはさわおさんが考えたんですか?
「一応“3人で考えよう”ということで、19年ぶりに3人だけで飲みに行ったんですよ。
意外にないんですよ、メンバー3人だけって。
そしたら集まった時からシンイチロウくんはベロンベロンでさ(笑)、結果真鍋くんと二人で決めたという。
とは言っても最初の3分くらいで決まっちゃって、後はひたすら飲んでいたという(笑)。
とはいってもみなさん優秀なオールマイティなベーシストの方々なんで、誰がどの曲を演っても面白い事をやってくれると分かっていたんで、そこは安心していました」

●どんなデモテープを渡したんですか?
「ドラム入って、ギターも2本入って、歌も入って、歌詞もほぼ出来上がった状態の、アレンジはキッチリしたものを渡しましたね。
無いのはベースの音だけで。
でもそこにベースが入って来た事によって、辻褄合わせというか、アレンジを変えて行ったというのはありましたけど」

●ベーシストにとっては、そこまで作り上げているものと、まだラフなものと、どっちが楽なんだろう?
「そりゃラフな方がやり易いでしょうね(笑)。
コーデネイトに例えれば、靴もシャツもカーディガンも決まっていてパンツだけ決まってない状態で、デニムを用意して、みたいな感じなんで(笑)、そりゃ難しいでしょうね。
でも、さすがにみんな、そんな制約の多い中でもなにかしら面白いことを考えてくるんですよね。
さすがでした。
でも上田さんや鹿島さんはバンドマンじゃなく、サポートメンバーとしての歴が長いので、“ここに爪痕を残そう”的な鼻息の強さは全くなく、その曲にふさわしいものを弾いて、その中に自分らしさをふわっと残す、みたいなやり方でしたね」

●M-3の『I RIOT』とかM-6の『エリオットの悲劇』という、ピロウズの初期を感じさせる楽曲のベースが上田さんというのは個人的にシックリときました。
「『エリオットの悲劇』は絶対上田さんだよね、というのは真鍋くんとすぐに一致しました。
ザ・スミスとかザ・ストーン・ローゼズとかが好きだった90年代初期の匂いのする曲なので」

●あの、これ文章にするのはすごく難しいんですけど、この前ライブレポートを依頼された関係上、じっくりと二日間GLAYのライブを見たんですけど、JIROくんってベースが上手いんだよね。
改めて思った。上から目線みたいでホント恐縮だけどさ。
「そ!そうなんです。上手いんですよ」

●ね。M-2の『カッコーの巣の上で』なんて、さっきのデニムの例えでいえば、シンプルな無地のデニムを持ってくるかと思ったら、ものすごく派手な柄もののデニムを持って来た、みたいな感じで
「(笑)そうそう、主張のあるものを持って来て、でもそれが案外心地いいって感じですよね。このフレーズ、もしもサポートベースがこれを持って来たら却下していたと思うんですよね。
それくらい予め持っていたイメージとは違ったので、ギョッとして。
でも単に却下して自分のイメージに近づけさせたならゲストベーシストを招いた意味が無いな、と思い直して一度持ち帰ったんです。
で、聴いているうちに“これメチャクチャいいじゃん”と思えて来て。
時間をかけてから凄さに気付いて。僕は瞬発力で判断する人なんですよ。
だからこれは『発見』でしたね。“瞬発力は大事だけれどそれが全てではない”と気付かせてくれたことが。“人をもっと信頼した方がいい”って思わせてくれたことが(笑)」

●でも同じくJIROくんの弾くM-9『Stroll and roll』ではとてもシンプルなラインで、その振り幅も素敵です。
「ですよね。こんなインタビューしてるとJIROくんが増々すごいと思えて来た(笑)。ほんと、素直なベースラインで、もしJIROくんがこのアルバムに痕跡を残そうと考えているなら、きっと派手なことも出来たと思うんですよ。『Stroll and roll』でもやりようはあるんですよ。でもフツーに弾いてのあの2曲だったと思うんですよ。その差がまた面白くて。一度本人に聴いたんです。そしたら『カッコーの巣の上で』は最初、サポートならどう弾くだろうとピロウズに寄せて弾いたらしいんですよ。でも“もしこれがGLAYの曲だったらこう弾くな”って、素直に弾いたらしいんですよ。面白いですよね。THE PREDATORSともまた弾き方が違って。JIROくんはきっと“ミュージシャンの中でピロウズの一番のファンは自分だ!”と思っているんですよ(笑)。そこに感謝と敬意を表して重要な曲をお願いして。ライブすごく見に来てくれるんですよ。札幌にも来たしわざわざオフの時に沖縄にも」

●これらの曲を持ってのライブツアー、楽しくないワケがないですよね。
「ええ、そうですね。シンイチロウくんが酒を飲み過ぎないように、そこだけ目を光らせて(笑)3ヶ月間全国を回ってこようと思います」

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